AIによるコード補完が当たり前になりつつある現代では、プログラミング学習や開発の効率をグッと上げてくれる強力なツールが続々と登場しています。
そんな中、Googleが提供するAIアシスタント「Gemini Code Assist」が特に注目を集めています。
何と言ってもすごいのは、個人向けに無料で利用できると2025年2月27日に発表されたこと!
これまではCursorやCline、GitHub CopilotといったAIアシスタントツールがありましたが、どうしても費用がかかることがネックで、導入をためらっていた方もいるかもしれません。
でも、Gemini Code Assistなら無料で使えるので、気軽にAIアシスタントの便利さを体験できます。
この記事では、世界中で大人気のコードエディタ「Visual Studio Code(VS Code)」でGemini Code Assistを導入し、その強力な機能を最大限に活用するための手順を詳しく解説していきます。
Gemini Code Assistってどんなツール? 初心者にとっての心強い味方!
Gemini Code Assistは、Googleが開発した最先端のAIモデル「Gemini」を搭載した、WEBコーダーのためのAIアシスタントです。
簡単に言うと、プログラミング作業をAIがサポートしてくれるツールですね。
VS Code(Microsoftが開発した無料のソースコードエディターで、たくさんのプログラミング言語に対応していて、拡張機能でさらに便利に使える人気のツール)のような主要なIDE(統合開発環境:プログラミングに必要なエディター、コンパイラー、デバッガーなどのツールが1つのソフトにまとまったもの)と連携することで、開発のスピードを劇的に上げてくれます。
Gemini Code Assistの主な特徴
- GoogleのGeminiモデルをフル活用
自然な文章のニュアンスを理解してくれるので、質の高いコードの提案が期待できます。 - できることがたくさん!
コードの自動補完、新しいコードの生成、書かれたコードの解説、テストコードの生成、さらにはチャット機能まで、本当に幅広い機能が使えます。 - 色々なプログラミング言語に対応
Python、Java、JavaScript、TypeScript、C#、Go、Rust、PHP、Ruby、Kotlin、C、C++、Shellスクリプト、SQL、Scalaなど、なんと20種類以上のプログラミング言語をサポートしています。 - 無料でほとんど無制限に使える!
個人利用の場合、月に最大18万回もコード補完をしてくれます。これって、他の無料アシスタント(月に2,000回くらいが一般的)と比べると、圧倒的に多いんです!普段の開発なら、まず制限を気にせず使えますね。 - 主要なIDEをしっかりサポート
VS Codeだけでなく、JetBrains IDEなど、多くの開発環境で利用できます。
初心者にとっての大きなメリット
Gemini Code Assistは、特にプログラミングを始めたばかりの方にとって、本当に心強い味方になります。
- 楽しく学んでスキルアップ!
AIが「これがベストな書き方だよ」と教えてくれるので、実践しながら正しいコードの書き方を学べます。
コードの意味や動きを説明してくれる機能も、コードを読みやすくしたり、理解を深めたりするのに役立ちますよ。 - 開発がスイスイ進んで効率アップ!
毎回手入力するような定型的なコードや、同じ作業の繰り返しをAIが自動でやってくれるので、開発にかかる時間を大幅に短縮できます。
これで、難しい問題解決や、もっとクリエイティブな作業に集中する時間が生まれますね。 - エラーが減ってデバッグも楽に!
文法間違いやタイプミスなどのうっかりミスをAIが自動で見つけて、直す方法を教えてくれます。
プログラムの誤り(バグ)を見つけて直す作業(デバッグ)の手間が、ぐっと減るでしょう。 - プログラミングのハードルが下がる!
専門的なプログラミングの勉強をしてなくても、AIがサポートしてくれるので、ソフト開発に参加しやすくなります。
Gemini Code Assistを始めるための準備
Gemini Code AssistをVS Codeで使うためには、以下のものが必要になります。
- Visual Studio Code
公式サイトからダウンロードしてインストールしてください。 - Googleアカウント
個人のアカウントで大丈夫です。 - Node.js環境(必要に応じて導入してください)
一部の機能で必要になることがあります。
VS Codeへのインストール手順
VS CodeにGemini Code Assistを導入するのはとっても簡単!
VS Codeを立ち上げたら、画面の左側にあるサイドバーの「拡張機能」(Extensions)アイコンをクリックします。
検索窓に「Gemini Code Assist」または「Gemini + Google Cloud Code」と入力して検索してみましょう。
検索結果に出てくる「Gemini Code Assist」または「Gemini + Google Cloud Code」という拡張機能を見つけたら、「Install」(インストール)をクリックしてください。
インストールが終わったら、VS Codeの画面左に出てくるGeminiのアイコンをクリックするか、VS Codeの右下やサイドバーに表示されるポップアップやアイコンをクリックして、拡張機能を起動します。
画面内の「Sign in With Google」または「Login to Google Cloud」をクリックすると、自動的にブラウザが開きます。
画面の指示に従って、Googleアカウントで認証(サインイン)をしてください。
認証が終わったらブラウザを閉じてVS Codeに戻れば、Gemini Code Assistを使う準備は完了です!
補足
ネットの情報によっては「APIキーの設定が必要」と書かれているものもありますが、個人向けの無料プレビュー版の導入では、上記の手順でGoogleアカウントと連携するだけで使えます。
企業で利用する場合や、Google Cloudともっと深く連携させたい場合は、Google Cloud ConsoleでGemini APIを有効にして、APIキーを設定する手順が必要になることがあります。
Gemini Code Assistの活用方法
Gemini Code AssistがVS Codeにインストールされると、コードを編集するときにたくさんの強力な機能が使えるようになります。
1. コードの生成:まずはAIに書いてもらおう!
プログラミング初心者の方は、まずAIにコードを生成(作成)してもらうことから始めると、効率的にコードの書き方や文法のパターンを学べます。
コメントからコードを生成(インライン提案)
コードファイルの中に「こういうコードを書きたい」という目的をコメント形式で書いて、Windows/LinuxならCtrl+Enter、macOSならCtrl+Returnを押すと、AIがコードを提案してくれます。
提案されたコードは「ゴーストテキスト形式」(半透明の文字で表示されるコード提案)で出てくるので、Tabキーを押せばその提案を受け入れて、コードを挿入できます。
また、// suggest:
というコメント形式で書き始めると、その意図に沿ったコードを提案させることも可能です。
# Pythonで2つの数字を足し算する関数を定義する def add_two_numbers(a, b): // suggest: return a + b を提案
自然な言葉でコードを生成(チャットパネルまたはクイック選択バー)
チャットパネル(VS CodeのGemini Code Assist拡張機能の中にあるチャット画面)で、普段使っている言葉(自然言語)で機能の説明をしたり、クイック選択バー(Ctrl+I (Windows/Linux) または Command+I (macOS) で開く、コード生成や修正のコマンドを入力する場所)で/generate
コマンドを使ってコードを生成させたりできます。
「Amazon S3からファイルをコピーする一般的な関数をPythonで生成してください。
」と入力すると、AWSのライブラリ(Boto3など)を使ったコード例が表示されます。
Ctrl+I を押してクイック選択バーを開き、/generate function to create a Cloud Storage bucket
と入力。
アプリの骨組みを作ってもらう(スキャフォールディング)
「/statusという1つのルートで『OK』を返すシンプルなFlaskウェブアプリケーションの基本的なファイル構造とボイラープレートコードを生成してください。」のように、ざっくりとしたリクエストに基づいて、AIがアプリの初期設定や雛形(ボイラープレートコード:特定のプログラミング言語やフレームワークでよく使われる、最低限の機能を持った定型的なコード)を生成してくれるので、開発をスムーズにスタートできます。
2. コードの説明と理解:書かれたコードを理解しよう!
他の人が書いたコードや、時間が経って忘れてしまった自分のコードが何をしているのか理解するのは、初心者にとって難しい課題ですよね。
Gemini Code Assistは、コードの意味を説明してくれることで、この悩みを解決してくれます。
選択したコードを説明
意味を知りたいコードのブロックを選んで、チャット画面で「Explain this code to me」や「このコードを日本語で説明して」と入力します。
右クリックメニューから「Gemini: Explain This Code」を選ぶこともできますよ。
自分のコードを理解させる
チャットでAIに質問するときに@記号を使って、自分の作業スペースにある特定のファイルを指定することで、それを参考にしてもらうことができます。
「@YOUR_FILE_NAME_1と@YOUR_FILE_NAME_2の違いを説明して
」AIは指定されたファイルを読み込んで、より質の高いコードの候補を提案してくれます。
3. コードの改善と修正:エラーを解決し、もっと良いコードに!
バグを直したり、コードをもっと良くしたりする(最適化)のは、初心者にとって特に難しい作業です。
Gemini Code Assistは、これらの作業をサポートしてくれます。
バグを見つけて修正案を提案
コードの中にあるエラーを自動で見つけて、直す方法を教えてくれます。
エラーがある行にカーソルを合わせて、「クイック修正」から「/fix」を選ぶか、チャットで「Help me debug my code」と入力すると、修正の提案を受け取れます。
コードを整理して最適化(リファクタリング)
重複したコードや効率の悪いコードを整理して最適化(リファクタリング:プログラムの見た目の動きは変えずに、中身をより良くすること)させることができます。
コードを選んだ後、チャット画面で「このコードを最適化して
」や「Make my code more readable
」と入力します。
フィードバックで機能を改善(反復)
AIが作ったコードが思った通りでなくても、自然な言葉で問題点を説明して、修正や改良を依頼できます。
AIとのやり取りを繰り返すことで、思い通りの結果に近づけられますよ。
FileNotFoundError例外も処理し、ファイルが存在しない場合は空のリストを返すように前の関数を変更してください。
4. テストとドキュメントの生成:品質と分かりやすさをアップ!
コードの品質を高めるために大切なテストコードやドキュメント(説明書)の作成も、Gemini Code Assistが手伝ってくれます。
ユニットテストの生成
選んだコードのブロックに対して、ユニットテスト(プログラムの個々の最小単位、例えば関数やメソッドなどが正しく動くかを確認するテスト)の生成を依頼できます。
コードブロックを選択後、チャット画面で「Write a unit test for this function
」と入力。
ドキュメントやコメントを自動生成
関数やクラス、選択したコードの詳細な説明に対して、ドキュメント(プログラムの仕様や使い方などを書いた文書)やコメントを自動で生成してくれます。
Pythonで”””を入力してコメント欄で送信すると、関数の目的、引数、戻り値などを説明するコメントを自動で作ってくれます。
また、コード変換コマンド「/doc this function」も使えます。
5. チャット機能
Gemini Code Assistのチャット機能は、コードに関する質問だけでなく、プログラミング全般の疑問にも答えてくれます。
例えば、特定のアルゴリズムについて質問したり、新しい技術の概要を尋ねたりすることもできますよ。
6. コードレビュー機能
Gemini Code Assistは、GitHubと連携することでコードレビュー機能も提供しています。
プルリクエストの自動レビュー
GitHubのリポジトリに送られたプルリクエスト(Gitなどのバージョン管理システムで、自分の変更を他の人のコードに含めてほしいときに送るリクエスト)をAIが自動でレビューし、バグやコードの書き方の問題を検出し、修正案を提案してくれます。
カスタマイズできるレビュー
.gemini/styleguide.mdというファイルを置くことで、チーム独自のスタイルガイド(コードの書き方や名前の付け方などのルール)に合わせたレビューにカスタマイズできます。
レビュー時間の短縮
基本的なチェックをAIに任せることで、開発者はもっと大事な部分のレビューやロジックの確認に集中でき、レビューにかかる時間を短縮できます。
プロンプト活用のヒントと注意点(初心者向け)
Gemini Code Assistを効果的に使うには、AIへの指示や質問(プロンプト)の作り方がとても重要です。
プロンプト作成のヒント:AIに「伝わる」指示を!
具体的に、分かりやすく指示する
AIがあいまいなままにならないよう、明確な指示を出しましょう。
例えば、「シンプルなウェブページを作って」よりも「HTMLとCSSを使って、ヘッダー、ナビゲーション、メインコンテンツ、フッターを含むレスポンシブなシンプルなウェブページを作って」のように具体的に指示することで、より的確な結果が得られます。
背景情報を提供する
既存のコード、関連するライブラリ、クラスや関数の骨組みなど、AIが答えるために必要な背景情報(コンテキスト)を十分に与えましょう。
これで、コード生成の質が大幅に上がります。
出力の形式をはっきり伝える
回答をどんな形式で受け取りたいか(例:箇条書き、表形式、特定の文字数制限など)をはっきり伝えましょう。
AIに役割を設定する
AIに「あなたは経験豊富なPython開発者です」のように特定の役割を設定すると、その役割に合った回答や視点が得やすくなります。
プロンプトを試行錯誤する
色々なプロンプトを試して、コード生成に役立つ結果を引き出すことが大切です。
一度で完璧なプロンプトを作ろうとせず、AIとのやり取りを通じて少しずつ改善していく姿勢が重要です。
タスクを分割する
複雑な問題を一度に解決しようとせず、小さな部分に分けて段階的に指示を出すことで、AIが一度に処理する情報量を減らし、適切な回答を生成しやすくなります。
使用上の注意点:AIの出力を鵜呑みにしない!
Gemini Code Assistはとても強力なツールですが、以下の注意点を常に頭に入れて使いましょう。
生成されたコードは必ず確認する
Gemini Code Assistは、もっともらしく見えても、間違ったコードや事実と違う情報を作り出す可能性があります。
そのため、生成されたコードは必ず自分でレビューし、テストし、内容を理解することを強くおすすめします。
特に、セキュリティの弱点(システムの弱点となり、不正アクセスや情報漏洩につながる可能性のある欠陥)や著作権(著作者に与えられる権利で、他人が無断で作品を利用することを禁止できる)についても注意が必要です。
チャット履歴をリセットする
Gemini Code Assistは、プロンプトに答えるときに、過去のチャット履歴も参考にします。
履歴が長すぎたり、今やりたいことと関係なくなったりすると、AIが混乱して、期待通りの答えを出せなくなることがあります。
関係なくなった場合は、チャット履歴をリセットすると良いでしょう。
ショートカットキーを使いこなす
VS Codeのショートカットキー(特定の機能を素早く実行するためのキーの組み合わせ)を覚えることで、マウスを使う回数を減らし、作業効率を上げられます。
例えば、Alt+C (Windows) / Option+C (macOS) でインライン提案を手動で開始できます。
無料プランの制限について
個人向けの無料プレビュー版は月に最大18万回の補完が可能で、ほとんど無制限のように使えますが、大規模なプロジェクトや企業での継続的な利用には、もっと機能が充実した有料プラン(StandardプランやEnterpriseプラン)の検討がおすすめです。
Gemini Code AssistとGitHub Copilot、どっちを選ぶ?
Gemini Code Assistは、AIコーディングアシスタントとしてすでに人気の高いGitHub Copilotの強力なライバルとして注目されています。
主な違いは以下の通りです。
項目 | Gemini Code Assist | GitHub Copilot |
提供元 | GitHub(Microsoft)+ OpenAI | |
AIモデル | Gemini 2.0 | OpenAI Codex |
料金プラン | 個人向け無料(月間最大18万回補完)、有料プランあり | 個人向け有料(月額10ドル)、ビジネスプランあり |
特徴的な機能 | Google Cloudとの統合、AIによるコードレビュー、プルリクエストの自動分析 | GitHubとのシームレスな統合、エディタ上でのリアルタイム補完 |
クラウド環境との連携やコードの品質向上(コードレビューなど)を重視するならGemini Code Assist、GitHubとのスムーズな連携と強力なコード補完を求めるならGitHub Copilotという選び方が良いでしょう。
しかし、個人向けに無料で提供されている点で、Gemini Code Assistは非常に魅力的な選択肢と言えますね!
まとめ
Gemini Code Assistは、プログラミング初心者にとって、学習を加速し、コードを書くプロセスを大幅に効率化してくれる強力なツールです。
今回ご紹介した具体的な活用方法やプロンプト作成のヒント、そして大切な注意点をしっかり理解して、積極的にAIを活用してみてください。
導入自体もとても簡単で、無料でここまで使えるAIアシスタントツールは他にありません。
AIの力を借りながら、皆さんのプログラミングスキルがぐんぐん向上し、もっとスムーズで生産性の高い開発ができるようになることを願っています!
ぜひ一度試してみて、日々の開発効率がどう変わるか、体感してみてくださいね。