省エネの等級には断熱材や窓、サッシといった外皮性能を評価する断熱等級と照明や空調、給湯といった設備のエネルギー消費量を計算する一次エネルギー消費量等級の2つがあります。
住宅用途では断熱等級と一次エネルギー消費量等級の両方を計算しますが、非住宅用途では一次エネルギー消費量等級のみを計算します。
実際には等級を計算するのではなく、断熱等級であれば、UA値とηAC値を計算によって求め、その数値によって断熱等級が決まります。
一次エネルギー消費量等級はBEI(設計一次エネルギー消費量÷基準一次エネルギー消費量)を求め、その数値によって一次エネルギー消費量等級が決まります。
断熱等級の一覧表
断熱等級の基準はUA値とηAC値で評価が行われます。
さらにUA値とηAC値は建物を立てる地域によって細かく分類がされています。
これを地域区分と言います。
一般的に「省エネ基準をクリアしたい」と言われる省エネ基準は断熱等級4を指しています。
ただ、住宅では断熱等級の他にこのあと解説する一次エネルギー消費量等級もクリアして初めて「省エネ基準クリア」となります。
そして、最近よく見かけたり耳にするようになったZEHというのは断熱等級でいうと等級5を満たし、一次エネルギー消費量等級6をクリアした建物になります(太陽光の有無などでZEHはグレードが変化します)。
民間基準のG1、G2、G3といった基準も聞いたことがあるかもしれませんが、G2はここでいうと等級6相当で、G3が等級7相当と言われています。
下記の表が断熱等級とその基準をまとめたものになります。
地域区分やUA値とηAC値についてはこのあと簡単に解説しておきます。
UA値とは
UA値とは単位温度差当たりの外皮総熱損失量を外皮総面積で割った値になります。
UA値を読み替えると「外皮平均熱貫流率」といい、もっとかんたんに言うと部屋からどれだけ熱が逃げにくくなっているかを表した値になります。
UA値は小さいほど断熱性能が高くなります。
ガラスや冊子、外壁、構造体によっても熱の逃げやすさは変わります。
構造体で言えば木造よりもRC造のほうが熱は逃げやすく、S造ではさらに計算結果が悪くなります。
ガラスは複層ガラスやLow-Eガラスを使って熱の出入りを制限して行くことで断熱性能を高めることができます。
ηAC値とは
ではもう一つのηAC値とは何かというと、単位日射強度当たりの総日射熱取得量を外皮総面積で割って、100を掛けた値になります。
ηAC値を言い換えると「冷房期の平均日射熱取得率」といい、UA値とは逆に熱の入ってきづらさを表した値になります。
ηAC値が小さいほど、外の熱を遮断する能力が高くなります。
外の熱が入りにくく、中の熱が逃げにくい建物が断熱性能の高い建物というわけですね。
地域区分とは
地域区分とは各地域の気候を考慮して、8つに区分されたものになります。
地域区分によって断熱等級の基準(UA値、ηAC値)が変わりるので、事前に調べて置く必要があります。
地域区分は建設地の住所から調べることができます。
詳しい地域区分表は国交省のサイトで確認できますので、そちらのURLを貼っておきます。
https://www.mlit.go.jp/common/001500182.pdf
一次エネルギー消費量等級の一覧表
一次エネルギー消費量は建物に実装される設備の能力を入力し、BEIという値に変換して評価が行われます。
現在の省エネ基準ではBEIが1.0以下になることが義務付けられています。
先述のZEH基準は0.8以下になる等級6が必須になります。
非住宅の場合はこの一次エネルギー消費量等級をクリアするだけで良いとされています。
非住宅用途の建物を設計されている方で、断熱性能を気にされる方がよくいらっしゃいますが、非住宅の省エネ計算に断熱性能は直接影響はありません。
空調能力の計算に用いられているだけですので、一番に気にされなくても大丈夫かと思います。
省エネ基準は法改正ごとに段階的に引き上げられていくので注意しておきましょう。
BEIとは
BEIとは設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で割った値で、数値が小さいほど省エネ性能の高い建物になります。
部屋の広さに最適な空調の能力はこれくらい、などといった数値が決められており、その値よりも大きいか小さいかでこのBEIが変化してきます。
計算式や係数などは公開されていないため、詳しいことはわかりません。
ZEBと言われる建物では、一次エネルギー消費量のBEIを0.5以下にする必要があります。
その上で、太陽光を乗せてBEIを下げて「0(ゼロ)」に近づけて行きます。
ZEBに関する詳しい解説はまた別の記事で書いていこうと思っています。
一次エネルギー消費量の計算で評価する設備
非住宅では断熱等級の計算は行わないと先述しましたが、外皮の仕様の入力は行います。
直接省エネ計算の結果に影響するというよりは、空調の能力を求める際に必要になるもので、断熱性能がどれくらいだったという結果や等級の評価は行われません。
また非住宅の一次エネルギー消費量の計算は用途ごとに計算の対象となるは部屋が異なり、さらに部屋ごとで入力しなければいけない設備の種類が異なります。
この内容については下記の記事で詳しく解説していますので、合わせてご確認ください。
まとめ
省エネ基準とひとことで言ってもなかなか複雑な仕組みになっていましたね。
2024年現在では等級4が省エネ基準とされていますが、今後の法改正でその基準もZEHやZEBといった水準まで引き上げられていくことが決まっています。
よりよい省エネ設計を目指して、今設計している建物がどれくらいの省エネ性能を持っているかなど、データを取っていけば、どんな設計がどれくらいの省エネ性能を持った建物になるのかというあたりもつけやすくなるかも知れませんね。
- 省エネ基準をクリアするというのは等級4をクリアすること
- 住宅の省エネ基準は断熱等級と一エネルギー消費量等級をクリアすること
- 非住宅の省エネ基準は一エネルギー消費量等級をクリアすること
- 住宅の断熱等級の基準値は地域によって異なる
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